ばっくすばにいの二日間                

ばっくすばにいを再結成する事になった。

きっかけは、古いラジオ番組を復活させるという知らせ。
僕が一時期司会をしていた『まるぶつwaiwaiカーニバル』だ。
「何とか3人揃って、1曲だけでも演奏して貰えないかなぁ。」
に、早速メンバーに電話。
まずは岸本一遥(岸本はやと)電話で話すのも25・6年振り。
「元気か?」
に元気良く答える。
「五十川はどうなの?僕は大丈夫だけど。」
で保留。
次は五十川清に電話
「もう既に、その日は仕事が入ってます。けど、何とかします。」
こうして以外と簡単に、再結成は決まった。

東京の岸本、京都の五十川、滋賀県の僕、リハーサルの方法が問題。
それより何より、昔の歌を覚えているかどうか?ステージは30分だという。
出来れば、番組終了後にアンコールを兼ねてミニコンサートを、とも。

今の歌で良いなら、2時間が3時間でも大丈夫だが、昔の歌はそうはいかない。
又、昔の歌は特に短い。1曲2〜3分と見積もっても8曲くらいは必要である。
すっかり忘れている歌詞、どうかするとメロディも危ない。
そうそう、本棚に昔ファンの人から頂いた歌集があったっけ。
発見!発見!
良く残しておいたものである。これがなければ今回の話はあり得なかった。
当時の僕らのレパートリーの歌詞を、キチンと書いてくれている。
書いてくれた主は解らないが、改めてここでお礼を言っておく。

6曲を選抜
『結婚行進曲』『しあわせ京都』『彼は船乗り』『朝一番に』『ひとりぽっちの夜』『マウンテンデュー』こんなところか?
レコーディングしたものは資料を作れるが、それ以外は僕が録音するしかない。
録音さえすれば、これらの資料をMP3にして、HPに貼り付けて置く事が出来る。
後は彼等がそれを聞いてくれればOKなのだ。便利な世の中になったモンだ。
(今も貼り付けたままになってます。URLを解読すれば聞けますよ。)

岸本からメール
「聞きました。了解です。」
五十川、返答無し。後日電話を入れると
「今、コンピューター壊れてますネン。」
曲目を伝えると
「了解しました。」
との事。まぁ、この二人なら心配はない。

本番前日、市内某所でリハーサル。
岸本と30年振りの再会。握手、つのる話、今の状況。
折しも紅葉シーズン。停滞に巻き込まれた五十川が遅れてやってくる。
3人が揃うと途端にオーラを発する。自分たちも吃驚するくらいのオーラ。
『昔話より練習。』
と楽器を出して唄い始める。
我々は現役のミュージシャン。
岸本はフィドラーとして五十川はドラマーとして、僕はバンジョリストとしてそれぞれの地位を築いても来た。
その3人から出る音は、昔のそれとは違う全く新しいサウンド。しかし、ばっくすばにいなのである。
「これは面白い!」
と思ったのは、僕だけではなかった。
「いいよなぁ。」
「よろしいなぁ。」
口々につぶやきながら、次々と曲を仕上げる。

30年もやってなければ初めて演奏するに等しいが、こんなに面白く出来上がるのは、
3人が積み上げてきた30年の重みだろう。

全曲仕上がったところで、前日打ち上げ。
得意のエルラティーノへ。そこに、昔のファンクラブ・マネージャーが終結。
昔話に花が咲く、その中にもみんな将来を見据えた話をしている。
気分は30年前にワープしているが、やっぱり今を生きている。
翌日が早いので早めに切り上げ、家路に付く。

本番当日、10時から公開リハーサル。開店と同時に何人かのお客様が入ってこられる。
サウンドチェックの後
『朝一番に』
を唄った時は本番さながらの、フラッシュとハイテンション。この後が楽しみ。

12時の本番には、かなりのお客様が会場を埋めていた。さすがに若い人は見あたらない。昔若かった人ばかり。
山崎弘士の総合司会で番組が進行してゆく。
元シモンズのYUMI(北川ユミ)・笑福亭鶴光・元ちゃんちゃこ(SWING T'S)
が終わり、さぁいよいよ。まずはトークショーから、
一人喋りなら良かったが、正直くだらない話に閉口した。早く演奏して欲しいと言う熱気が伝わってきてたから。
話の途中でステージの裏に待っている、岸本・五十川を呼びに行ったくらい。
3人がステージに揃うと、やっぱりオーラ。もう話なんかそっちのけ、CMへ。
CMがアケで山崎弘士
「30年振り!今日のこの日のために再結成してくれました!お待たせしました!ばっくすばにい!」
「よしいけ!岸本!」
この気分を忘れていたのはいつからだろう。
『結婚行進曲』
イントロ、に続いて五十川のベース。こうしてばっくすばにいのステージが始まった。

カメラのフラッシュは光りっぱなし、さすがに恥ずかしいらしく歓声はない。
いつも見慣れた顔、懐かしい顔、見た事のある顔。
みんな揃って完全に30年タイムスリップ。観客も僕らも。
「この名前をもう一度言うとは思っていませんでした。みなさんこんにちは『ばっくすばにい』です。」
『朝一番に』
『彼は船乗り』
『マウンテンデュー』
『しあわせ京都』
結局、放送の乗ったのはこの5曲だけ。放送終了後
『ひとりぽっちの夜』
僕の思いつきで
『旅に出るのよ』
驚いたのは、近鉄のアトリウムに集まっている人ほとんどが、全曲僕に合わせて唄っていた。

若い頃同じ時間を共有したものたちが、今ここに集まり同じ空気を吸っている。
又今日限りの時間を共有している。
みんなニコニコしながら、過ぎた時間を振り返っている。
そして泣いている。さいごはみんな目がうるうる。それぞれの思い。
そして、アンコール。
「放送終了後の2曲がアンコールでした。」
と言っても、誰も言う事を聞いてくれない。
「じゃぁ、さっき唄った中でもう一度聞きたい曲をリクストして下さい。」
一番多かったのが
『しあわせ京都!』
「わかりました。では、『しあわせ京都』を唄って、今日東京からでてきてくれた岸本一遥をフューチャーして
『オレンジブロッサムスペシャル』を演奏します。」
わぁお〜〜〜〜(歓声と拍手。)
『しあわせ京都』
が終わるやいなや、岸本のフィドルが突っ込む、五十川のジャンベが追いかける。
ギターを弾きながら、ニッティグリティダートバンドのオープニングアクトのオーディションテープを創った頃を思い出す。
このスタジオ録音で初めて3人が顔を合わせ、ばっくすばにい結成のきっかけとなったことを。
あの日の編成も岸本フィドル・五十川ドラム・僕ギターだった。今日と何も変わらない。

悲しいかな、僕らはあの頃にはもう戻れない。
けど、僕らはその頃と同じ道を今も歩いている。
僕らが一緒に歩いたことのある、たった4年足らずの時間が、
今こうして僕ら3人に新しい世界を見せてくれている。ありがとう。

集まってくれたみんな、ラジオの向こうで泣いてくれたみんな。ありがとう。

僕らはこれからもそれぞれの道を歩いていきます。応援してください。

僕らは又どこかの交差点で出会うかも知れません。
その時は又、今日の事をお話ししましょう。

その日までお元気で。 

最後に長い間お世話になった『丸物』『近鉄』両百貨店に心から感謝します。
長い間ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

 


お読みになった方是非一言おねがいします。