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My箸

2005年の11月。近くにあったスーパーが閉店した。
17年も営業してきた店であった。
オープン当時僕は京都に住んでいて、滋賀県の友だちを訪ねたときに立ち寄った記憶がある。その頃は
『良い品を安く』
と言う感じもあったが、バブル崩壊後
『安けりゃいいんだろう?』
と言わんばかりの品揃え。
最初から¥500で売るために作った商品に¥1500の正札を付けて値引きをしたように見せかけている様なのが並んでいた。閉店間際にはそれが顕著に見られた。
しかし閉店セールともなると、これまで
『騙されないよ。』
を貫いてきたお客さんたちも店に押し寄せた。勿論僕もその一人である。
正札の50%〜90%引きであればどんなものでも、確かに安い。これまでこの店にこんなに沢山の人が入っているのを見た事が無い程の人。
僕が店内に入ったときは、ライオンもハイエナもコンドルさえも食べ終わったあとの状況。
買いたいものでもあれば良かったのだが、幸か不幸か僕が買わなければならないものまでもう既になくなっていた。
食器売り場に僅かの商品。覗くとお箸が売っている。¥1200の黒檀のお箸が一膳¥315。安い!正札の真偽の程は別にしても安い。
それを手に取りレジに持っていくと
「今日は最終日なので20%offで¥252」
だと言う。さらに安い!うれしくなっちゃう。
お箸を買った理由はこうである。

僕の住む少年山荘にはゴミの収集車が来ない。志賀町の『飛び地』であるために大津市を通らずに入ってはこれないからだ。
従って僕たち家族は、ゴミを車の乗せて、近くにある焼却場まで自分で棄てに行っている。
焼却場に着くと車ごと計量し、焼却のためにゴミをためておく穴(と言っても大きな鉄の扉が付いていて、穴の大きさは10階建てのデパートひとつ分くらい)
にゴミを捨てる。次から次へと焼却炉にUFO CATCHERよろしくクレーンがゴミを送り込んでいるにも関わらず、後から後からトラックがゴミを捨てていく。
日によってはその穴が一杯になりかけている事さえある。
この状況を毎週何度か見ていると
『買い物に行くときは買い物かごを持っていこう。』
『せめて自分の使う割り箸の数を減らそう。』
と言う気になってくるのだ。
『電信柱の横に置いておくだけで、勝手にゴミが消える。』
のではないのだ。
長くなったが、そんな訳で自分のお箸を持って歩く事にした。
持って歩き出して気付いたが、食事を終えると
「お箸、洗いましょうか?」
と言ってくださる店がある事に驚かされる。自分のお箸を持ってくる人が増えてきたせいだろう。
それだけではない。家で食べているのと同じ感覚で食べられるから
『味』
が良く解る。これはお勧め出来る。
溢れるほど使い捨てのような商品、言い換えればすぐにゴミになるような物を作り続けていたお店の閉店セールで、
ゴミを減らす為にお箸を買ったのはなんと皮肉な話だろう。

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