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駐車場
最近うっかりものを忘れる。
家を出るときにちゃんと確認したつもりでも、何か忘れて取りに帰る事もシバシバ。
それでも忘れてくるものがある。
衣装、確か『きた村』でのライブの日の出がけにアロハシャツにアイロンまで掛けて鴨居に吊ったまま。
幸い実家であったために、父親の浴衣を借りて演奏したっけ。
チューニングメーターはしょっちゅう忘れる。
『北村 謙 Banjo ひとり旅』
の時は携帯の発信音でGの音を取ったりして凌いでいるが、誰かとのジョイントの時は困ってしまう。
去年の12月はコンサートの前に神戸のアコースティックハーモニー(僕のBanjoを造ってくれた楽器屋さん)に立ち寄り、
世間話をしているときに
『ギター!』
を忘れてきた事に気付いた。
焦ったけど幸い楽器屋さんなので1台貸して貰った、帰り道に返しに行ったけど遅かったので大変迷惑を掛けてしまった。ゴメン。
言い訳になるけど、普段はギターを持っていかないからこんな事が起こり易い。
ただしその時は出掛けに弦を張り替えていたのだから、やっぱりボケけている。
時はバンジョー祭り、ところは大阪。
その日は箏を持っていかなければならなかったので、車で出掛けた。
会場のバナナホールに荷物を下ろし、車は駐車場へ。
「車は11時までに出してください。それ以降は出られません。」
「ハイ、ハイわかってますよ。」
ここのパーキングは一日最大¥1500。ミュージシャンにはありがたい。
2時から搬入・リハーサル・本番と恐らく8時間くらいは停めておく事になるのだから。
僕の予想では7時からの開演なので恐らく2時間半としても9時半終了。
余裕である。
と、ところがなんと終演は10時40分。
エンディングの
『蛍の光』
を弾きながらも気が気ではありません。
終演後そそくさと着替えて
「車取ってきま〜す。」
こんな時にこそ忘れ物をしてはならじと指さし確認。キーよし、駐車券よし。
「行ってきま〜す。」
鞄を持って飛び出した。
駐車場までは歩いて10分の距離。仕方ありません安いのですから。
駐車場に着くとシャッターが半分下りてます。時刻は10時50分。
駐車券を出すと電光掲示板に¥1500の文字。
「何時も停めさして貰うてるけど、安いし助かるわ。」
等と良いながらKEYを取り出したところで、財布がない事に気付いた。
真っ青。
楽屋に貴重品を置いて置くと危険だ、特に大勢の出演者があるときは人に紛れておかしな奴が入ってくる事があるから、
とそう言えば安全な場所に財布だけ移し替えたのを思い出した。
待て待て、慌てるな小銭入れがあるじゃないか。小銭入れの中には小さく折り畳んだ紙幣が・・・あった。
が、1000エン。
小銭入れの中に確か500円玉が・・・・しまった、さっきジュースを買ってしまった。
真っ青さお!!
「一寸取りに帰ってきます。」
「どこまで?」
「バナナホールまで・・・・。」
「11時には閉めるよ。」
と、冷たいお言葉。たしかに取りに帰っていたら往復20分掛かる。
渡邉 裕子に持ってきて貰おうと電話をしかけたが、渡邉
裕子はホールの中でも迷ってしまうほどの方向音痴。
ここまで辿り着くのは早くて2〜3日掛かるだろう。
「お困りのようですね、お貸ししましょうか?」
と神の声とも思える優しい言葉。手には黄金色に輝く500円玉。
「ありがとうございます。あの、どちらの方ですか?」
「僕はそこの角曲がったとこにある『モスバーガー』のもんです。」
「すぐに返しに行きます。」
と難を逃れた。
世の中には親切な人が居てはるのです。
ロイヤルホースの近くの『モスバーガー』にお勤めのTさん。本当にありがとうございました。
あなたが居なければ、大阪に泊まらなくてはならないところでした。
「ありがとうございました。本当に助かりました。」
「いいぇ、どう致しまして。また、うちの店もご利用下さい。」
「よくロイヤルホースでライブをやりますから、また食べに来ます。」
この約束だけは何があっても忘れてはならない。
