Banjoのひとりごと24                Banjoのひとりごと25

山笑う
 

2月に入るとどんなに雪が降っていようが、確実に蕗の薹が顔を出す。
「去年はもう一寸遅かったように思うけど。」
等と不確実な事を言っている我々より、うんと正確な時計を持っているらしい。
出始めの頃の採ったものは味噌と和えて酒の肴となる。
続いて採れたものは天ぷらにして、これをあてに酒を飲む。
口の中に拡がるほろ苦さが
『春』
を届けてくれる。旨い。
雪に閉ざされた時間が長ければ長いほど喜びは大きい。
蕗の薹を口にした後は春へ一直線。少々の雪が降っても不思議に、
『名残雪』
と思えてしまうのである。

徐々に日差しが変わってくる。時折晴天の空。
今度は川縁が騒がしくなる。
野カンゾウが出はじめると、富山湾でホタルイカが捕れ出す。
正月の白みその残りで酢みそを作り、ホタルイカのぬたで一杯やる。
野カンゾウは食べ過ぎると腹を壊すらしいが、これまでその経験はない。

この時期からは、友人の家や知り合いの家に行くときのお土産が天然物となる。
道ばたに生えているタンポポや、アザミの新芽、カラスノエンドウの新芽なども天ぷらや素揚げにすると
酒がすすむ。

正真正銘の春が来ると、琵琶湖の湖面がコバルトブルーに光る瞬間がある。そうなったらもう大変。
毎日毎日成長するタラの芽を見守る。採り時が難しい。
「もう少し大きくなってから。」
等と言ってるウチに誰かに採られてしまう事がある。
油断も隙もあったものではない。

採っていただくのはよいのですが、一つ忠告です。
タラの芽は1番芽は採っても良いのですが、2番芽を採ると木が枯れてしまいます。
二つ芽が付いているときは、必ず二番芽を残してください。
一つしか付いていないときは、前に誰かが採った跡がないか確認して採ってください。
枝を折って採るのは厳禁です。あなたは良かっても、たらの木は確実に死にます。

大きなタラの芽を天ぷらにすると、タンパク質系の味と独特の甘みがたまらない。
採り立ては特に旨い。酒が欲しくなる。

このころ川縁でコゴミが採れ出す。
見た目は悪いが、さっと湯がいてサラダやマヨネーズ和えにするとことのほか旨い。やっぱり飲む。

なんと言っても大御所はコシアブラであろう。
山に暮らし始めた頃、山菜採りの名人と言われた友だちが
「こんな貴重なものが採れた!」
と我が家に持ってきてくれた。翌日家の周りを散歩していたら、どう見ても同じものがある。
早速採ったと電話をしたら、友人は驚愕していた。
コシアブラは1週間くらいの間に見る見る大きくなるので、頑張ってせっせと飲まなくてはならない。大変だ。
この時期ついつい酒が過ぎる。

先日も夕食にそれらの山菜を食べながら飲んでいて、ふと思った。
ここ暫く我が家は、木に生えたも野や道ばたにある草のようなものばかり喰っている。
それは贅沢の極みのような貧乏である。

山菜は野菜の原種。あくが強いので食べ過ぎに注意しましょう。
と自分に言い聞かせている。
勿論飲みすぎにも。