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着物

 

50歳を過ぎたら着物で暮らそうと思っていました。

その方が落ち着きが出るだろうし、体型的にも似合うだろうし。
しかし、今の僕の生き方、着物では暮らしにくそうでどうも踏ん切りが付きません。
だって、まだ若いせいか、一寸気温が上がるとびちゃびちゃになるほど汗をかきます。(若いのではなく、太っているから。)
その上、重たいBanjoを肩からぶら下げて歩いたりすれば、着物も堪ったモノではありません。

まだ、落ち着きがありません。

たとえば、電車の時間を見てそれ に間に合うように出掛ける。
なら良いのですが、準備ができ次第家を飛び出し、電車の姿が見えたら全力疾走。
これでは駄目です。
又そんな事では着物が鬱陶しいだけのモノになってしまいます。

着物の扱い。これも又問題です。
着付けや畳み方などは解っているものの、一寸した気遣いが出来ません。
小雨が降っていても
「傘が嫌いやから。」
と歩いていた僕なんぞは、いちいち傘を差す面倒くささに馴れなくてはならないし、
そうしたらそうしたで、何処かに傘を忘れてきます。きっと。

この間も、一流料亭の玄関口で露地行灯を、雨の中傘も差さずに出しておられる仲居さんを見て
「あ〜ぁ、エエベベがワヤになりまっせ。」
人の事は良く解るのです。
自分が出来るかどうかが問題なのです。

叔父が着道楽で、大量の着物を残して逝きました。
体型がよく似ていたので、ほとんどのモノが着られます。
夏の着物から単衣物・合わせ・羽織袴・絽・紗・下駄から雪駄まで、全部が一気に揃いました。
それならば!と言うところなのですが、まだまだ着物を着るようなところまで自分自身が到達していないように思うのです。

着物を着た時の凛とした気分は大好きです。

だから、どこかで僕の着物姿を見て
「ようやく中身もホンマモンになって来はったんやなぁ。」
などと早合点するのは止めてください。

中身が着いて行かなくても、着物を着たい日があるのですから。