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大きな字
2006年7月24日梅雨の中休みみたいな日。
いつになったら梅雨明けするのだろう?等と思いながら車で朽木に出掛けた。
本日の目的は鯖寿司ではない。てんくうの湯という温泉の横にある体育館を目指している。
そこで書道家のみなさんが集まる
『墨人会』
会員30人ほどの合宿があると聞いたからだ。
この合宿に先日僕のライブを企画してくださった
『GALLERY菫(スミレ)』
の畠中幸代さんが参加しておられる。
畠中さんはカリグラファーとして、飲料水やお店のロゴマークを創作しておられる作家です。
その活動とは別に、大きな筆で見事な字を書かれる書道家でもある。
昨年秋に岡崎の美術館で作品展があったときに
『こんな大きな字を書かれる時があれば、是非見せて頂きたいものです。』
と話していたので、今回お誘い下さったのでしょう。
雨で綺麗に洗われた緑の中を走ると心まで洗われます。
途中で車を止めてお昼寝。まだ11時30分。
涼しい風の心地良さをそのままにしておくのが余りにも惜しかったので・・・。
目覚めて目的地へ、体育館は木々に囲まれた丘の上にありました。車を止めて中に入ってみると
『日本にこれほどの新聞紙があったのか!』
と思うほど、床一面に新聞が敷き詰めてありました。
勿論その下は墨が染みないようにブルーシートが敷いてあります。
何でも、新聞の残ったものを分けてくださる業者があるそうです。
午前中は会場の準備をしてお昼ご飯を取り、さぁ書くぞ!と言ったところに来たようです。
まだ、みなさん紙を準備したり墨を準備したり。
畠中さんは山科大丸のショウウインドウの
『山科書店』
の文字を書かれるとか。いろんな質問をしていたら
「謙さんもせっかく来たんやし書いてみたら?」
何という大胆なお言葉。
「いやぁ、僕なんか無理ですわ。」
佐々木鐵仙先生に鍛えていただいたのを良い事に、普段から解ったらしい批評をしていました。
偉そうな事を言ってても、ホンマは何も出来ないのです。
字を書くなんてお恐れ多い。等と言い訳をよそに、畠中さんは紙をセッティング。
「はい!」
はい!ってあんた、こんな大きなもんに何を書けというのです?
紙の大きさは1800×1400、畳一畳半。体育館で見るとさほどではないものの、ヤッパチオオキイ。
「初めての時は、偏と旁に別れた字は書きにくいので、一気に書ける字がいいですよ。」
「はぁ。」
まぁ何事も経験、やってみましょう。白いシャツを脱いで、買ったばかりのジーパンも脱いで(墨が飛んだらイカンでしょ。)
この際格好なんか構っていられない。
をぃ!それは、パンツとシャツやろうが!(いいのです。やるときはやるのです。)
・・・・・・・・沈黙・・・・・・・・・
心の声(なんて書こ?一字で書きやすい字)
ふと、往き道で昼寝をした時の心地よさを思い出しました。
『風・・・・よし!風や・・・』
筆は長さ500mm重さは墨を含むと5Lくらい。教え通り墨をたっぷり含ませて
・・・・・・・・沈黙・・・・・・・・・
心の声(風ってどんな字やったっけ?)
みなさんも想像してみてください、畳一枚に一文字書く事を。書き順やら細かい字のバランス、わからんもんですよ。
・・・・・・・・沈黙・・・・・・・・・
心の声(ホンマに書いていいの?アカン!こんな時こそ無になりなさい。そう、無・無・無・・・・・・)
「えい!」
びちゃ!ず・ず・ず・ず・ず・びちゃ!びちゃ!ず・ず・びちゃ!ず・ず・ず・ず・びちゃ!
最後のびちゃ!は勢い余って自分の足にまで書いてしまいました。
書いた字の評価はともかく、気持ちがいい!
畠中さんは
「なかなか、やらはりますやん。」
と次の紙を準備。結局3枚も書いてしまいました。
書き上がった字を評価して貰いながら眺めていると、とても愛おしい気持ちになってきます。
そう話すと畠中さんが
「そらそうですやん。その時の自分ですもん。」
あかん!はまってしまいそう!僕、そんな言葉に弱いの!
貴重な体験のお礼と、書いた字の保存をお願いしててんくうの湯へ。
「足に付いた墨を流してください。」
と無料券まで頂いてかえりました。あつかまし!
てんくうの湯の露天風呂、風が木立を吹き抜ける度、さっき書いた
『風』
に逢いたくなる初夏でありました。
畠中さん貴重な体験をありがとうございました。
畠中さんのページ
http://narops.com/syoka/index.htm
