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繰り返し

 

★ホテルで目が覚める。酒が残っている。
夕べの打ち上げの後で、昨日共演した先輩のフォークシンガーに
『愚痴』
零しながら随分飲んだようだ。

目覚まし時計の音がホテルによって少しずつ違うので、約束の時間におくれることは無い。
とは言うものの、チェックアウトの時間が迫っている。慌ててシャワーを浴びて残った酒を洗い流し、準備を整えてロビーへ急ぐ。
嫌になる程の大量の楽器。
ツアーバスにそいつを詰め込んでメンバーとバラバラの席に付く。いつも同じ顔なので、話す言葉も少ない。
バスが向かうのは次の目的地。
何時間掛かるのか、それが何処であるのかは覚えていないが、兎も角熟睡。バスが停まると
『小休止か到着』
いずれにしても、誰かが起こしてくれるまでは席を離れない。

楽器を降ろせば、コンサートが行われるホールの楽屋に直行。雨でも晴れでも関係ない。
今日のメニューも、昨日と同じ。マネージャーが見なれた字で代わり映えのしないメモをメンバーに配る。
一息付いて、チューニング。そしてリハーサル。たいした打ち合わせも無く、弁当を食べて本番。
始めて来た土地で、まるで始めてやるネタのように上手く喋って演奏する。

本番が終われば、ファンに囲まれているリーダーの横をすり抜けツアーバスに楽器を積み込み、乗り込む。僕に気持ちを寄せてくれるファンの人の
『お名前を教えて下さい。頑張って下さいね。』
が心に沁みる。

リーダーがバスの乗り込むと一路ホテルへ。
どこの町のどこのホテルも、多少の大きさの違いは有ってもほとんど同じ。
マネージャーから打ち上げの時間を聞いて部屋に入る。勿論楽器を持って。
楽器の管理を人任せにしないのは、今も同じ。

打ち上げ会場では
『愛想笑い』
気の合った人や、共演者が有れば二次会へ
飲んで騒いで、気が付けば(★に戻る)

 

某有名グループにメンバーとして参加していた頃は、こんなことの繰り返しでした。
親や友達から
『全国津々浦々色んな所に行けて幸せやなぁ。』
などと言われましたが、現実は
『名所旧跡はおろか、町の様子なども何一つとして覚えていない。』
なのです。

そんなツアーのやり方が理解出来なくなって。
いつの頃からか、イヤ1993年の音楽活動再開の時から、
『入り時間の2時間前』
に現地に到着することを心掛けています。

余裕を持って会場に向かう。
色んな物を見て色んな人と出会う。愉しみもするし、話もすれば勉強もする。
あの時代に一度来たことのある
『初めてみる風景』
に新たな感動を覚えながら・・・。

『北村 謙 Banjo ひとり旅』