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権勢症候群(けんせいしょうこうぐん)

 

こんな言葉を知っていますか?
確か今から5〜6年前に、僕の中学時代からの友人で獣医師の和田茂雄君が
「こんな病気があるので気を付けて!」
と教えてくれました。
犬を飼って居る人でも、知らない人が多いようです。

犬というのは家族の中で
『自分の立場』
を下から2番目に置く動物だそうです。
例えば、お父さん・お母さん・長男・次男・長女。この家族が犬を飼ったとします。
すると本質的にはその家族の中で、お父さん・お母さん・長男・次男・犬・長女と言う
序列を作ってしまうものなのだそうです。

小さい子が、なかなか歩こうとしない犬に手こずりながら散歩をしているのをよく見かけます。
あの場合はどうやら、犬が自分より下の立場の子供に
『お前の言う事なんか聞けるモンか!』
と抵抗しているようなのです。

これまで大概の犬は家の外に小屋を持ち、鎖に繋がれて飼われて居ます。
いくら可愛がられていても、食事や水の世話をちゃんとして貰っていても、犬は犬。
これが家族構成として、人間と犬との付き合い方としてバランスが取れていたからでしょう。
ところが最近、犬を大切にし、我が儘放題に育てる人間が増えて来ています。

ご存じのように、犬は言葉を持たない動物。けど、感情はあります。
美味しそうなご飯。でも熱い。を出された時は
『何とかしてくれ!』
みたいな顔をしますし、飼い主が帰ってくると、笑います。
余談ですが、足の裏だって、脇腹だってこそばゆいのです。
実験をしてみたのですが、後ろ足の肉球をサワサワっと触ると、足をピクピクさせてこそばがります。
腰の少し上、脇腹をこちょこちょっとしてやると、物凄くいやがります。

言葉を持たないが故にその感情を擬人化して、解ったらしく犬の思うがままに、我が儘放題に育てると、この病気に掛かるらしいのです。
何でも言う事を聞いて貰えると、犬が
『自分は偉いんだ!』
と思いこみ、自分の立場を家族の長にまで高めてしまうのです。
こうなったら、家族の誰が近づいても威嚇します。噛みつきます。
僕の知り合いも、お父さんが飼い犬がティッシュの箱を噛んでいるので取り上げようとして、手を噛まれてしまいました。
『うちに来た時は僕の言う事良く聞いてたのになぁ。』
が、飼い犬に手を噛まれた飼い主の言い分。恐らく、お父さんが仕事をしている間に、お母さんが言う事を聞き過ぎたのでしょう。
ショックは大きかったようです。
まさに、
『うちの子に限って・・・?』
です。

そうなのです。世の中で一番恐ろしい事は
『自分を叱ってくれる人が居ない事。』
欲しいものは何から何まで何でも手に入る。何でもかんでも言う事を聞いてくれて、自分のために家まで建て直してくれる。
至れり尽くせり。
そんな優雅な生活を保障してくれるなら、毛皮の上から暑苦しい洋服を着せられる事くらい、犬でなくても辛抱しますよ、誰だって。
そんなに居心地の良いくらしをしていたら、一寸でも嫌な事をする奴・自分と同じ環境にいない奴・自分の言う事を聞かせられない奴には、
立場関係無しに容赦なく噛みつきます。相手が自分に屈するまで。人間だって。

『過保護に育つと言う事は、人の痛みをわからない事。』
「○○ちゃんは賢いし、解ってるわなぁ〜。」
と言いながら育てている人。
気を付けてください!

最近、起こる様々なニュースを見ていると、この病気は何も犬だけに限った事では無さそうな気がします。
大人も子供も環境に甘えることなく、甘やかされることなくちゃんと育ちましょう。
自分は愛玩動物ではないと言う自覚を持って。

くれぐれも、犬の猫っかわいがりには注意しましょう。