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珈琲
この間、京都の町中で仕事の打合せの為に待ち合わせをた。
「久しぶりの六曜社で話しましょうか?」
六曜社のドアを開けると、漂う珈琲の薫り。内装や雰囲気どれを取っても懐かしい。
「スミマセン、今満席なのでちょっとお待ちいただけますか?」
あまり時間も無かったので
「じゃあ、また来ます。」
で六曜社をあきらめた。
昔も今も
「美味しい珈琲でなければ我慢が出来ない。」
と言う人は、かなりの数居るようだ。
25年前、コーヒーショップを経営していた僕。
一日の節目節目に喫茶店でゆっくりお茶を飲むサラリーマンや営業マンが常連客。
新聞を広げてゆったりと時間を楽しむ人たちの姿が思い出される。
さぁさ、そんな事より喫茶店を探しましょ。
暫く歩いてみるが、喫茶店は見つからないし、それらしい店も思い出さない。
年々その数を減らしてゆく喫茶店、これも時代の流れだろうか?
しかたない、三条のスターバックスまで行きますか。
スターバックスへ行くと、ナッシュビルへの乗り換え時間にシカゴのオヘア空港のスタンドで飲んだ記憶がいつも蘇る。
日本のそれより、もっと甘いメープルシロップの香りが漂っていた。アメリカらしい匂いだった。
最近ここをよく利用するのは、その記憶と全店禁煙のせいか。
ただ、紙コップで飲むのは好きになれない。
昔煙草を吸っていただけに、珈琲と煙草の切っても切れない関係は良く解っている。
それだけに、自分から禁煙は強要はしない。これに関してはお店任せだ。
店にはいるとカウンターで注文。必ず、頭の上に貼り出されたメニューを見上げて注文を決める。
「こちらにも同じものがございます。」
と、テーブルに置かれたメニューを進めてくれる女性。
どうやら、街で上を見上げる田舎者の習性を見抜かれたようだ。
にこやかな笑顔が辛い。
「この次に来た時は、真っ先にテーブルのメニューを見るぞ!」
固い決心。
「カプチーノのトールとラテのショートを下さい。」
「ハイ、カプチーノのトールがお一つと、ラテのショートがお一つですね。ありがとうございます。」
「すみません。両方ともマグカップでお願いします。」
「ハイ解りました。」(彼女オーダーを通す。)
「カプチーノのトールがお一つと、ラテのショートがお一つで670円頂戴します。」
千円札を出しておつりを貰う。
「330円お返しします。『マグカップでご注文してくださり、ありがとうございました。』」
僕は思わずカウンターの上に張り出されたメニューを、体を反り返えらせて見た。
さっきの決心はどこへやら。
「マグカップで注文したら、『ありがとう。』って言うようになったの?」
と尋ねた。それは、これまでマグカップで注文してもそんな風に言われた事が無いから。すると彼女は
「マグカップで注文して貰えたら、少しでもゴミが少なくなるから、地球環境に優しいなと思って・・・(ニコッ)。」
その答えに、マニュアルではない本当の気持ちが感じられた。
この店の他の人も同じようにしているのかどうかは知らない。
見た感じでは僕より30歳は年下の彼女。言わば、ぼくの娘と同い歳くらいの彼女。
同じように地球の事を考えながら生きている人間に出会えた事がとても嬉しい。
その日の珈琲がいつもより美味しかったのは言うまでもない。
そして、三条スターバックスに行く理由がまた一つ増えた。
