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友、遠方より

 

松本もんつがオーストラリアから帰ってきた。

最近は、半年ワイナリーで働き、残りの半年はプロのカントリーバンドで演奏をしているらしい。
聞くと、オーストラリアではトヨタ等の大手メーカーがスポンサーになり、カントリー人気が高いという。
もんつはバンジョーコンテストでも優勝したことがあるから、バンドに入れて貰うには何の問題もないのだろう。
しかし本人は
「コンテストでの優勝なんて、お情けみたいなもんです。日本人が珍しかったんと違いますか。」
ときっぱり切り捨てる。

もんつとは11才も歳の開きがある。しかし、あまり気にはならない。
どころか、とても気が合う。
年に1回のリハーサルは昼から始まって8時間くらい。食事をして少年山荘泊。
翌日京都までの道程も含めて、ずっと話している。
ずっと音楽の話、バンジョーの話。

もんつはミュージシャンとしても、アーティストとしても、一般社会人としても魅力的な人間。
それが、帰ってくるたびに成長を遂げている。
互いにバンジョーの可能性を探し求めていること、アートに興味があること、音楽に対する姿勢、生き方に、
どうやら共通点を見いだしているみたいだ。
リハーサルのない時も泊まりに来て話し込んでいくのだから、宿としてだけでは無さそうだ。

ワイナリーで働いている半年間、楽器を触らずにいることが苦痛ではない。
ひょっとしたら、俺は音楽が好きではないのだろうかと思う時がある。
と長浜訛りではなす。
バンジョーを弾き始めたら、それが良いリセットになっていることが良く解る。

あたらしいCD を聞かせてくれた。物凄いナチュラル。
「クリック(メトロノーム音)無しでやったんか?」
「イヤ、入れましたが気にせんかったです。」
面白い!と思った。今度録音するCDは是非こうしてみたいと。
「人間が奏ってる音がしてるなぁ。」
「ええでしょう。日本語の曲は少しにしたんです。」
「その方が、逆輸入みたいでエエやん。」
「そう、そいでオーストラリアの人にも買って貰いやすい。去年謙さんと奏ったのが大きなヒントになったんです。」
「そうかそら良かった。ほな、そろそろ練習始めようか。」
こんな具合に、少しずつ、少しずつ前に進む。

クロウハンマーとスリーフィンガー。表現する奏法はちょっと違うが、思いは同じ。
心地よい鳥肌が立つ。

中学の頃、ウクレレのネックと空き缶でバンジョーを創ったことがある少年。
それが面白いと、深夜放送で電話訪問したことがあるDJ。
いつのまにか、同じバンジョープレイヤーとしてステージに上がるようになった。

時の流れは二人の間にある垣根を完全に取り払ったようだ。
いや、垣根を取り払った二人の間に時間がゆっくりと流れている。

もんつがまだ日本にいるうちから、来年の帰国が楽しみだ。